2023年2月27日 お知らせ, お部屋をお探しの方, 不動産をご購入の方, 不動産オーナーの方
「みんなの図書館さんかく」という完全民営の街の小さな図書館をご紹介します。静岡県は焼津駅前通り商店街の空き店舗の一つを活用した図書館です。「一箱本棚オーナー制度」と呼ばれる月額制の本棚オーナーの仕組みで、家賃や水道光熱費などの最低限の経費を稼ぎ出し、本を中心にまちの新しいコミュニティ(図書館)をつくる試みです。
本棚オーナーは、棚の利用料として月額2,000円を支払います。本だけでなく、絵本や雑誌も置くことができます。自分が貸し出したい本を置くことができます。裏表紙には読んだ人が感想カードを差し込むことができ、利用者の感想が積み重なっていきます。
一棚オーナーは棚に本に関連する情報を置くこともできます。釣りが趣味なら釣りの情報や釣り具、写真なども置けます。手芸の本を置く方は、作品や教室の情報を置くこともできます。なかには交換日記を置いて、利用者の方とコミュニケーションする方もいるそうです。
利用者は、最初に300円の会員カードをもらいます。最大5冊まで1ヵ月間ほど借りることができます。
顔はみえずとも、本を通して、自己表現をすることができ、さらに本を通じて知らない方と感想文というアナログなツールで、気持ちの通ったコミュニケーションを楽しむことができます。
さらにすごいのは、スペースを設けて、カフェなどが出店できるスペースがあることです。コーヒースタンドのほか、アジアンティーのお店などが曜日によって出店しています。出店料をとらないかわりに、図書館の「お店番」をしていただくことで、運営者として参加してもらい、図書館を開館してもらいます。一棚オーナーも、図書館の「お店番」をする権利を持っていて、多くのオーナーさんがお店番を希望してくださり、週6日の開館が可能となっているようです。
本を通じたアナログな交流は、個人が図書館という公共を自ら作り出すことで、新たなコミュニティの場所を生み出しました。運営者も無理せず運営し、空き店舗も埋まり建物所有者も安心できるので、全国でおなじような形態の図書館(通称 みんとしょ)が、30か所もできつつあります。
不動産活用というと、利益追求の計算ばかりになりがちですが、まちづくりという視点で、空き店舗の新たな活用を考案された土井潤也さんは素晴らしいですね。興味深い取り組みとしてご紹介しました。詳細は「みんな図書館さんかく」の公式HPをご覧ください。(https://www.sancacu.com)
naobimによるPixabayからの画像